日本人トランペッター、黒田卓也さん(Takuya Kuroda)をご存知でしょうか?
いきなりアレですが・・・
このお方の音源を聞いておいたら間違いないでしょう。
突然そんなことを言われても笑、という方に向けて、黒田卓也さんに関する情報、おすすめの音源をご紹介していきましょう!
まず、なんと言っても黒田さんの魅力はジャズの境界線をはるかに超えたそのダイナミックな音なのですが、まずは日本人として初めてジャズの名門ブルーノートのレーベルからリリースされたこちらの音源から。
Takuya Kuroda – Rising Son
そしてこちらはホセジェームズの曲でのトランペット。
JAZZY SPORTのDJ Mitsu The Beatsの手も加わって、よりメロウな音に。
José James – Promise In Love feat.DJ Mitsu the Beats
そしてさらに、先日発売されたニューアルバム「ZIGZAGGER」から。
Takuya Kuroda – R.S.B.D
こちらは一気に開放された感じ。
これらの音源、ジャズに思えますか?
黒田さんは、もともとは神戸生まれで地元のジャズの名門を卒業した生粋のジャズ畑の方なのですが、2003年に23歳で渡米し、ロバート・グラスパーやビラルも在籍していたニュースクール大学へ入り、ニューヨーク、ブルックリンでのさまざまな経験をもとに、その音楽性を一気に広げています。
※当初はいきなり、まだメディアに取り上げられていない時代のロバート・グラスパーに鉢合わせしたりしたみたいですが笑
個人的にもジャズは5年前くらいまでは“おじさんが聞く音楽”という印象がどうしても強くて、ほとんど聞いてこなかったのですが、黒田さん周辺の音楽を聞き始めて、ジャズの見方、捉え方が大きく変わったように思います。
ジャズという枠、ジャンルという枠を取っ払った黒田卓也の音楽性
黒田さんの最近のインタビューの中でも「ジャズというジャンルにとらわれたくない」という趣旨の発言があるように、こんなバンドでも演奏をしています。
⇒新譜のインタビューだと、柳樂光隆さんのこちらのインタビューが最高の情報量で素晴らしかったです。
Akoya Afrobeat Ensemble Live at Brooklyn Museum
Akoya Afrobeatというバンド名の通り、アフロビートでフェラ・クティ感溢れる音。
ジャズで育ってきた人がこの中で演奏しているというのもとてもおもしろいですし、そうそうできることではないなあと。
3分過ぎ、8分過ぎに黒田さんのトランペットのソロパートがありますが、こういうリズムの中のトランペット、楽しすぎる、、!
さらにどこか参照を忘れたのですが、インタビューを読んだら、ゴスペルにも影響を受けたと。
アングラ感のある協会に最高のゴスペルアーティストが集まっていて、そこに最高のグルーヴがあった、的な内容だったんですよね。
アングラな協会、最高過ぎます笑
こういう経験からこういう曲が生まれるんだな~と。
このライブとかね、もう最高ですよ笑
さらにアフロビートの要素を取り入れているこれらの曲も。
Takuya Kuroda – Afro Blues
Takuya Kuroda sextet – JAFRO
ジャズでは考えられない音の入り方。(と言ってもジャズをそれほど知りませんが笑)
このタイミングでこの音が来るか~という部分が多々。
なんというか、ジャズという枠でその音をとらえようとしていた自分が恥ずかしくなるくらい、枠を気持ちよくぶち壊してくれるんですよね。
その幅広いバックグラウンドがそのまま音に生かされている、という点も素晴らしいです。
2017年のTAICOCLUBでのライブ動画も公開されていましたのでぜひ!
これがまた最高。
黒田卓也 – R.S.B.D.
イントロだけで感覚的にお分かりになるかと思うのですが、各メンバーの演奏力も圧倒的。
ジャズがルーツになっている分、演奏の基礎力が桁違い。
その上でいろいろな音楽性を混ぜていっているのが黒田さんの魅力ですね。
黒田卓也名義でのライブだとステージ上の振る舞いやリズムの取り方も自由でとてもいいなあと。演奏を楽しんでいる感じというか。
このライブではトランペットもエフェクターでいじってますね笑
最近の活動の中での日本のアーティストのコラボ
アルバム「ZIGZAGGER」は日本盤のボーナストラックでceroも参加していて、NYでのレコーディングの時の動画もあります。
2015年には、ライブのゲストでceroを呼んでビルボードでライブしてましたから、そこからの関係もあってでしょうか。
黒田卓也 x cero レコーディングセッション in NY
それぞれ、いかにもいい音が出てますね~
ceroは、アルバム「Obscure Ride」を制作する上で、黒田さんの音源に大きな影響を受けたそうなので、ceroを聞くみなさんにもきっと何か感じるものがあるのでは。
国内アーティストとのコラボでは、ORANGE PEKOE、JUJUやMISIAともライブをしています。
これからその音楽性と同様、いろいろな方面からお声がかかることは間違いないでしょう。
メディアへの露出
最近はメディアへの露出も増え始めていて、題名のない音楽会に出演されたり、先日発売していたポパイ(ジャズ特集)でも、黒田さんが掲載されています。
その中でも、いかにも黒田さんっぽいアルバムを紹介していたのでご紹介しましょう。
ロイ・ハーグローヴ率いるThe RH Factorの曲。
The RH Factor – Hardgroove
The RH Factorっていうのがこれまたすごいグループで、トランペット奏者のロイ・ハーグローヴを中心にしつつ、ゲストでディアンジェロ、コモン、エリカ・バドゥ、Qティップ、ピノ・パラディーノを迎えるなど、錚々たるメンツを揃えているのです。(これはまた別の記事でも紹介しようと思います。)
ディアンジェロ感溢れてるな~と思って聞いていたら、ディアンジェロの「Voodoo」もロイ・ハーグローヴがホーンアレンジをしたそうで笑、そりゃ似てるわけだわ、と。
このあたりの時代(2000年ごろ)から、ジャズを崩し、ジャンルの別け隔てなくいい音楽を作っていく土壌が作られていったのではないかと思います。
それを受け継ぎ、発展させていくという部分でも海外ではロバート・グラスパーがその旗手となっている感がありますが、国内では黒田さん、そして黒田さん周辺の方々のこれからの活躍は必見過ぎるのであります!!!
黒田さんの周辺で活躍する日本人ジャズ・ミュージシャン
まず手軽に黒田さんの周辺の方を知るには、こちらが分かりやすくてよいかもしれません。
(紹介したい方は他にも多々いますが!)
J Squad – 報道ステーション・テーマ曲 「Starting Five」
報道ステーションのテーマ曲。
これも黒田さんが関わったものです。
J Squadは、メンバーそれぞれがニューヨークで活躍しているアーティスト。
中村恭士 Bass
小川慶太 Drums
大林武司 Piano
馬場智章 Saxophone
ドラムの小川さんや大林さんはよく黒田さんの音源にも参加されていますね。
小川慶太さんはSNARKY PUPPYのメンバーでもあります。(あのグループの中に日本の方がいるなんてすごすぎ!)
中村さん、大林さんはニュー・センチュリージャズクインテットでも活躍。
馬場さんはEngineered Garmentsのスタイルブックも手がけるなど、音楽にとどまらず、アートやファッション業界でも活躍されているそうです。
活躍のフィールドを見ると、いかにもアメリカ、NYらしい広がりでとてもいい感じですね!
国内にいるときには、メガプテラスというバンドでもライブがあったりしますので、もし耳にしたときはぜひ現場にて!!
黒田卓也をライブで見て欲しい理由
個人的に5度ほど?、黒田さんのライブを見ていると思うのですが、その音で特にいいな~と思う点は2つ。
①スパーンと抜ける音(パッ!パッ!という音が心地よく抜ける)
②ボリュームが小さくなる部分でのしっかりとした音
-聞こえるか聞こえないか、というところで音がしっかりと耳に届く
という点。
これはやはり生で聞かないとわからない部分もあるかと思いますので、ぜひ現場で体感していただければと!
(感じ方は人それぞれなので、他にもいいところが多々あると思います!)
あと、ライブで見て欲しいのは、その音を生で体感して欲しい、という点以外にもあって、トークがおもろすぎるという点です笑
必ずや会場を笑かしてくれる安心感。
曲が終わった後の
「あざーす」
という気の抜けたようなあいさつもこれまた黒田さんらしく、自然なのであります。
音に加えて、そういうかっこつけない、気張らないスタイルにいろいろな人が惹かれているのかもしれません。
少なくとも自分はそんな気がします。
記事の冒頭にある最新作のジャケットも、とんでもないデザインで笑
こちらのインタビューにあったのですが、
100年後の人がこれをみたときに、「なんじゃコレ」って言ったら面白いじゃないですか?で、聴いてみたら「すげぇ!」って。その自信はあるので。
っていう言葉も、最高にかっこいいなあと思いました。
こんなちょっとした言葉ひとつにも、作品へのスタンスが現れるのでおもしろいですね。
黒田さんのこれからの活動も応援しております!!!
“黒田卓也(Takuya Kuroda)のトランペットを聞いておいたら間違いない” への5件の返信
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