宇多田ヒカル – One Last Kiss

宇多田ヒカル - One Last Kiss

ふと、エヴァの新作予告を見たんです。

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』本予告【公式】

エヴァはたいして詳しくないんですが、予告の後ろで鳴っている宇多田ヒカルの曲がめちゃくちゃよくて。

「One Last Kiss」というタイトルの曲。

跳ねるようなビートの感じと語尾の切り方、なんとなく古臭いというか新作感のないようなこもった音の処理、そして声をストレートに届かせる演出(ラストのセリフ含む)など好みの要素が満載で。

この曲がかかる映画、観てみたいよな~と思うような曲でした。トレーラーとして素晴らしい!

そしてPVのフルバージョンも公開されたのでぜひ。
こちらはエヴァの監督である庵野秀明さんがディレクターとして、制作されています。

宇多田ヒカル – One Last Kiss

制作の裏側として

宇多田ヒカルサイドからのミュージックビデオ製作オファーを快諾した庵野氏は「現状可能なMVの作り方として現場ディレクション無しで本人の自撮り等による撮影素材を送ってもらって、それを切り取り繋げて作品に仕上げる」という方法を提案。

庵野氏からカメラ目線やリップシンク等メールによる最小限の注文を受け、宇多田ヒカルは細心のコロナ感染対策を取りながら数名のスタッフとともにロンドン郊外で撮影を敢行。

スマートフォンも含む様々な機材で撮られた映像素材を受け取った庵野監督らが日本で編集を行いました。まるでプライベートな過去の大切な記憶を辿るような、切ない感情が湧き上がる作品が完成しましたので、是非お楽しみください。

と説明されている。

後日、アルバム『BADモード』に収録されることになり、その際に宇多田ヒカル本人による全曲解説を聞いたんですが、この曲が初めてA.G. Cookとともに作った曲で、コロナの影響も一番受けていると言っていました。

PVのエピソードもその通りですね。曲の制作過程としてもA.G. Cookと会わずにデータのやりとりで進んでいったそう。

そして何ともおもしろかったのが、ベース音の話。
個人的にもこの曲の1:27あたりから入ってくるベースのブリンブリンな音が大好きでして。

実はこの音はミスから生まれたという話でした。

A.G. Cookから送られてきたデータにベース音が入ってないことにミキシングエンジニアが気づき、急遽ベースを生音で取った。

それをA.G. Cookに伝えたら、「あ、ベースのデータ送るの忘れてたみたい笑」と言われたそうで。

ミスがいいことに繋がるいい例、と宇多田ヒカル本人は言ってましたが、本当にナイスミス!あのベースがあって本当によかったです笑(もとは、シンセの音になじんだベース音が入っていたとのことなので、あれほど際立ってなかったのでしょう)

今回の曲は、音源としては過去のエヴァで使われていた曲とともに発売されるようです。

収録曲は

・One Last Kiss
・Beautiful World
・Beautiful World -PLANiTb Acoustica Mix-
・桜流し
・Fly Me To The Moon (In Other Words) -2007 MIX-

で、すべてエヴァの中で使われたことのある曲。

曲があまりにもよかったのでアナログを買おうかなと思って他の曲も聞いてみたら、ノーチェックだった「Beautiful World」もこれまたいいですね。2007年の曲だったのか。。

世代的にはデビュー当時に超話題になって誰もが聞いていた時代に当然のように聞いていたところから、個人的にやや宇多田ヒカル離れしていた時期に出ていた曲のようで。

宇多田ヒカル – Beautiful World

宇多田ヒカルはエヴァ好きを公言しているらしく、最新の曲もそうですが音像と映像とのリンクも素晴らしいですね。一音一音がなじんでいて。

そして「Fly Me To The Moon」は以前にこのブログで記事にしたPUNPEEのこのDJで初めて知ったんですが、序盤に使われていて印象的だった曲です。

DOMMUNE 2014/12/04「宇多田ヒカルのうた」PUNPEE / 宇多田ヒカルデビュー15周年記念番組

全編通して聞き慣れた名曲連発なのにもかかわらず古臭さがまったくなく、とにかく最高に仕上がっており、宇多田ヒカルを聞き直すきっかけになってくれたのは今思えばこれかも。これは2014年か。

宇多田ヒカルの音源については、2018年にアルバム『初恋』が出たときの一曲目のこの曲がめちゃくちゃよかった記憶があったので、今回の曲にも変な期待をしていたところがあったり。

宇多田ヒカル – Play A Love Song(Live Ver.)

このアルバムも全体をしっかり聞き込んだわけでもなく、ただ一方で、ごく個人的にこの曲のビートっぽいものを宇多田ヒカルに期待していたのが今回の「One Last Kiss」でがっちり使われていて、自分の中での伏線が回収された感じもとても気持ちよくてブチ上がってしまったのでした。

第一線を走りながらも大衆に飲み込まれることなく音楽的な進化を遂げていくアーティストはすごいですね~
そしてそんなアーティストが日本にいるというのもありがたいことで。ライブでも聞いてみたいものです。

ということで、今回はアナログを注文させていただきました。

アルバム『BADモード』にも収録されますのでこちらもぜひ。他の曲も含めて傑作です。