LOSTAGEからブッチャーズ吉村さんへの哀悼歌「美しき敗北者達」

Good luck / 美しき敗北者達

LOSTAGEの「Good Luck / 美しき敗北者達」。

バンド活動もしながら、奈良にあるTHROAT RECORDSの店舗も運営しているLOSTAGE(ロストエイジ)。「奈良にLOSTAGEあり。」というのは、一部の音楽好きの中では、すでに浸透しているのではないでしょうか。今年2月のMineralの来日時には、大阪での対バン(Mineral、toe、LOSTAGE)も決定しています。大阪の方がうらやましい。。

そんなLOSTAGEが、2013年に急逝したbloodthirsty butchersの吉村さんに捧げた曲が、今回ご紹介する「Good Luck / 美しき敗北者達」です。

アウトロ(演奏のラスト)の荒いギターの唸りは、まさにブッチャーズ。

参考に、ブッチャーズの「7月」もどうぞ。

こちらも間奏のギターソロやアウトロ、めちゃくちゃかっこいいです。。

両曲、ぜひ最後までお聴きくださいまし。
※LOSTAGE、他にもいい曲が山ほどあるので、また別の記事でもご紹介しますね。

今回の情報源は以下です。

⇒音楽雑誌「WHAT’S IN」のインタビューより

「美しき敗北者達」収録のアルバム「Guitar」発売の際のもので、インタビューを読むとさらによく伝わると思うので、インタビューの一部を抜粋して掲載すると、

――アルバムの曲はどれも気に入ってると思うんですけど、ひとりずつ特にお気に入りの曲を挙げてもらえますか?
拓人:(しばし熟考して)……「美しき敗北者」かなあ、やっぱり。いちばん最初に出来てた曲やし。
岳久:歌詞も最初から出来てて。いきなりライブでやったんですよね、1年前くらいに。

――吉村さん(bloodthirsty butchers)哀悼のために。
岳久:そのために作って。とりあえず何かやらな気が済まない感じやったから、苦手な歌詞を書く作業も急いでやって。ライブの前々日とかにできたんかな。
拓人:2日くらいで作ったよな。目的がはっきりあったから、あとはやるだけというか。
岳久:結果すごい長い曲になってしまいましたけど。気持ちが盛り上がりすぎて。今まででいちばん長いんちゃうかな? イントロを入れると9分くらいあるから。

――あ、一個前の「Guitar 2」はこの曲のイントロっていう位置づけなんだ?
岳久:そう。

――その急ピッチで作ってたときというのは、やっぱりエモーショナルな感じでした?
岳久:めちゃくちゃエモーショナルでしたよ。これがエモやなっていう。そこらのエモ・バンドを蹴散らすくらいのエモさでした(笑)。
拓人:ははははは。僕らの気持ちがいちばん反映されてる曲ではあると思いますね。だから、ライブでも演ってていちばんグッと来ますから。

――アウトロのギターとか、もう拓人泣いてんちゃうかな? って思うくらいだから。
岩城:まぁ、泣いてますよ。
拓人:はっはははは。

――タイトルにある“敗北者達”という言葉、意味的にはネガティブだけど、すごく愛に溢れたフレーズに聞こえます。
岳久:言ったら、死んだ人がいたわけじゃないですか? 続けていくこととかをすごい考えるきっかけになったバンドやったから、僕らにとって。死んだっていうことは、まぁ、負けたわけじゃないですか。いや、変な意味じゃなくて、僕らからしたら“約束が違うやん!”ってことなんですよ。ずっといるはずやったのに。

――予告もなしに、急にいなくなってしまって。
岳久:そう。でも見方を変えたら、やるべきことをまっとうしたというか。ひとつのストーリーとして、それはそれですごい美しかったなと思って。亡くなったあとにアルバムが出て。

――しかも問答無用の傑作アルバムが。
岳久:続けるっていう意味では負けたけど、バンドとしては最後までかっこよかったなって思うし。すごい美しかったなって。

――吉村さんだけじゃなく、この“敗北者達”にはいろんな人やバンドが含まれているような気がするし。
岳久:そうですね。僕らもバンドやし、吉村さんもバンドありきの人やったし、そういう仲間というか、僕らの周りにもいっぱいうだつの上がらないヤツラというか、たいして売れてもないけど、それでもやってる人っていっぱいいて。自分らも含め、どうしようもないなあって思うんですけど(苦笑)、そういうヤツラ全般のことですね。好きなんですよ。そういう人が。あんま限定したくないけど、そこに自分を重ねてもらえたらいいですね。バンドやることの面白さとか、楽しさとか、美しさとか、それを伝えていきたいというか。別にそこまで背負い込んでるわけじゃないけど、ホンマに面白いと思うし。それはみんなに感じてほしいなあとは思いますね。

――うんうん。この曲は音に関しても、もろブッチャーズですよね。
岳久:そうしようって言ってやったから。パクリって言われてもええからって。
拓人:むしろ、それを感じ取ってもらえなかったら失敗というか。

――オマージュみたいなものを全開にして。図らずもこんなに尺が長くなっちゃったんですか?
岳久:そうですね。盛り上がるところまでやるってなったら、この長さになって。基本長い尺の曲好きなんですよ。同じことずっとやるとか、間奏めっちゃ長いとか。この曲は、最初フェードアウトにしようか? って言ってたよな?  でも、拓人が泣きながら弾いてるから、フェードアウト無理やなって。

――気の済むまで泣かせてやろうと。
拓人:最後まで泣かせてくれって(笑)。
岳久:涙枯れるまで、な。
一同:ははははははっ。

これ以下は、ベース&ボーカルの五味岳久さんのブログ記事より。

「Good Luck」というタイトルの由来、(全文を読むと)アルバム通しての曲のタイトルの付け方(タイトルが1曲に対して2つずつついている)もブッチャーズの影響だったことがわかります。

8曲目のGood Luck / 美しき敗北者達って去年、吉村さんが亡くなってその直後にあったシェルターでのライブで初めてやった曲だったんですけど、あの時スタジオでメンバーと自分達なりの弔いというか何か出来る事があるとしたらバンドしかないしなって話になって、それで作ってやってた曲だったんで。Good Luckって、吉村さんから最後に来たメールの文末に残ってた言葉だったんですね、他愛もない内容のやり取りだったんで、大した意味はないと思うし、変な顔文字付いてたけど…笑。でもそこで終わってしまってて、今でも残ってる。なんだろうなと思います、人の一生って。

アルバムを作るきっかけが、そこから始まっているわけでは決してないんですが、それはもう無視出来ないくらい大きな出来事で。最後のギターなんかもうモロに出てるんじゃないでしょうか。大きかったな、って思いました、存在とか。生きてる/死んでるみたいな事はこの1年すごく考えてきたし。その後今年に入って俺ら身近な友人が亡くなったり、一気にくるんですかね。そんな事をやりたいわけじゃないと思い込みながら、死者の物語を意識せざるを得ない感じになっていったというか。歌詞を書いてるのは俺1人なんで、メンバーはそんな所まで共有してないかもしれないしそれはわからないんですが、日々のそんな物語は同じように持ってるんじゃないかなと勝手に思ってます。違ってたらごめんて感じ…笑。

死んでしまった人や残されたその仲間や、そういう人々が具体的にどの部分ていうのは説明出来ないですけど、このアルバムの主人公や登場人物になった、結果的に。それはもう、自分でも認めるしかなくて、ただ誰かに例えばインタビューで聞かれて答えるような事でもないなと思ったから、書いとこうかなと。インタビューで聞かれても答えますけどね。その前にインタビューあんのかって話ですけど…。曲が出来て、アルバムが出来て、それについて作ったヤツが説明するのなんかナンセンスでしかないと今までずっと思ってたし、今もそんなことして意味や気持ちを限定するのは違和感を感じてるけど、今回はちょっと違うかな。

立ち直れてないのかな、とも思います。誰かに強く共感してほしいとか、ついにこんな自分も思うようになったのかもしれません。それで吹っ切れたいとか、気持ちを入れ替えたいとか、そういうのがあるのかもしれません。失ったものに区切りをつけて、生きることに立ち向かっていきたいとか。それが、どっかに多分あるんでしょう。

ものすごく悲しかったし、でもいつまでも亡霊に語りかけるような者にはもちろんなりたくない。そんな気の宿るものを売り物にしていいのかどうかもわからないんですが、そうやって進んでいくしかなかったんで。

だからこのアルバムは死者には捧げずに、今を生きる人達の気持ちや魂の拠り所になってくれよ、って思います。

人の気持ちが宿ると、曲って良くなるんですね。やっとわかりました。そういうの、わかるのに時間かかり過ぎたかな…笑。でもなかなか良いアルバムだと思うんで、機会があったら是非聴いてみてください。

純粋に曲としていいのに、さらにここまで知ると、エモくならざるを得ないというか笑

この曲、

ライブで聴くと最高なやつですね。

「生で聴いたらいいトシこいた人間が泣いちゃうことになるかもしれない。」と思わせる(いい意味で怯える)一曲です。

ということで、

ぜひLOSTAGEのライブに行って、ともに泣こうではありませんか。

早くライブで聴きたいものです。

今回、記事をふたつ抜粋して掲載しましたが、どちらの記事も、今回の「Good Luck / 美しき敗北者達」収録のアルバム「Guitar」を聴く上で、かなりおもしろいと思いますので、ぜひ。

リンクも再掲します。
WHAT’S INのインタビュー記事「待望のニュー・アルバム『Guitar』をリリースしたLOSTAGEのロング・インタビューを公開」
五味さんのブログ記事「LOSTAGE / Guitar」

アルバムタイトルの「Guitar」も吉村さんのギターということなんですかね。


アナログは500枚限定での発売です。アマゾンでは高騰してますが、大阪のFLAKE RECORDSにはまだ在庫がありますよ。
LPを買うとCD-Rも一緒に付いているので、レコードプレーヤーはないけど、ジャケットがCDと違うし、かっこいいからレコードで欲しい!という方も安心です笑

アナログのジャケットはこちら。
LOSTAGE Guitar analog

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