【音源発売前全曲レビュー】Climb The Mind – チャンネル3

Climb The Mind チャンネル3

音源発売前全曲レビューという形で、今回の記事を書いてみたいと思います。

題材は2/22(水)発売、Climb The Mind(クライム・ザ・マインド)の「チャンネル3」。
※新曲を聞いたときの衝動がすごかったので、音源発売元のStiff Slack新川さんにお問い合わせをしたところ、サンプル音源をお送りいただけましたので。(ありがとうございます!!)

Stiff Slackから発売されるクライムの新作。
その発売を告知したことへの反響の大きさを見れば、今作への期待度の高さがうかがえるでしょう。

⇒発売元のレコードショップ兼レーベルStiff Slackのご紹介はこちら

クライムのようなバンドは、人知れずじわじわとファンが増えているイメージ。

その楽曲の中にある絶妙な違和感のようなものを好む人たちが自然と集まってくる感じ。

もともとエモ・ポストロック界隈につながりながらも、片足はどこか別の新しいところにいるような感覚でした。

そして、今回のアルバムで、いよいよ浮世離れした仙人的存在に昇華しているような笑

もともとそのケはありましたが、ジャンルがどうこうというかクライムそのもの。そういう感じ。

言葉では伝わりづらい部分もあるかと思いますので、今回の音源のご紹介の前に、Climb The Mindの過去のおすすめ曲も紹介しておきましょう。
(今回初めてClimb The Mindを知った!という方のために。)

まず、2008年発売の「よく晴れた朝は地下を探索しに出かけよう」から2曲。

Climb The Mind – 萌える傘の下


自分はこの動画でクライムのこと好きになったんだよなあとか思い出しつつ。
もともとバンドの名前はその界隈でよく聞いていて、これが決め手だった記憶。

Climb The Mind – 給水塔の前で待ってて


それで関連動画のこれも聞いて、どの曲もタイトルというか言葉選びのセンスがめっちゃいいなと。

そして、2010年発売の「ほぞ」から1曲。

Climb The Mind – ベレー帽は飛ばされて

ちなみにCDは入手困難となっている「ほぞ」もヴァイナル化して今春に再発されますよ!


こちらも限定500枚なので、また見逃すことなきよう。

これらの音源から“デスマッチ”のリリースを挟んで、フルアルバムとしては実に6年半ぶりのリリース。

この期間、雲隠れしていたわけではなく、ライブにも出てはいるのですが、そのひっそりとした露出の少ないバンドの佇まいにも仙人感を覚えているのかもしれません。

では本題、「チャンネル3」全曲レビューにまいりましょう。
曲順でどうぞ。

※一部歌詞のネタバレがありますので、「音源を先に聞きたい!」という方は、よろしければ音源発売後にまた見に来ていただけたら幸いです笑

Climb The Mind
「チャンネル3」全曲レビュー

01.プールの時間

日常の中にふと流れてきても全く不自然ではないイントロから入るこの曲。

アルバムの頭ってやっぱりドーン!と飾りたいところじゃないですか。

「チャンネル3」は、再生ボタンを押して、さあ何が来るかと期待に胸を膨らませるとこの音が飛び込んでくる。

普通のバンドだったら完全に拍子抜けしてしまうところなんですが、
クライムの場合、「これぞクライム!!!待ってた!!!」という感覚を覚えます。

かっこいいけど飾りすぎていて、日常生活でふと再生ボタンを押すとびっくりするような1曲目もある。
一方でクライムの場合、普通、日常、平和。

聞いていて、田舎にいたときの記憶が呼び起こされました。
クライムと同じく愛知県出身のわたくしとしては、勝手に親近感も沸いて◎なのであります笑

02.ポケットは90年代でいっぱい


そして2曲目でしっかり掴むこの曲がある。

個人的には聞いてすぐに

言葉遊びの天才かよ。。

と思ってつぶやいたのですが、


好きな曲って、他の人がどう反応しているかが気になっちゃうじゃないですか笑

その中で、Twitterを見ていてすごくしっくり来たのがこの言葉。

そう!合唱曲!!!

合唱コンクール(あれってなんだったんだろう。。)で練習した歌詞に通じる何かがあるんですよね。

「叶わない大きな思いがあるってこと」

ってなかなかこう大っぴらに言えないことを歌で、という。

しかもこのメロディーに乗って。

最高かよ、と。

反響の大きさにも納得の一曲です。

ちなみにタイトルの「ポケットは90年代でいっぱい」は、「ポケットは80年代でいっぱい」という香山リカの本があり、それを参照しているのかなと。

タイトルが気になっただけなのか、中身も好きだからなのか、どれくらいの影響を与えているのかわかりませんが笑、合わせてチェックしてみてもよいかも。

03.心のすべて

こちらも一曲目“プールの時間”と同じく、シンプルなイントロから始まる曲。

そして、そのシンプルなイントロから頂点への導線がしっかりできている曲、という感じ。

じわじわと伏線的なものが敷かれて、最終的に頂点で回収される、という。

頂点部分で声がほんの少し裏返っているところにエモを感じずにはいられません!

04.輝け自販機

ほんとね、タイトルがずるいんすよ。
輝け言わなくても輝くもん。自販機は。

「明日の僕らを照らせ、輝け自販機」

って最高過ぎるフレーズ笑

自販機に輝かせてもらう僕ってなんなんだw

こういうシュールな感じがクライム。

山内さんは“すごいよ!!マサルさん”とか読んでると思う。

この曲はアルバムの中では一番テンポが速いのかな。曲の短さも潔く。

05.泥棒

すーっと入ってくるイントロのベースが非常に好きです。

曲全体としてもベースの音が目立ってていい感じ。
ベースの目立ち方的には、冒頭でご紹介した「萌える傘の下」感がありますね。

スパーンという感じの終わり方もナイス。

さりげにこの曲がとても好きでした。
すごく気持ちよくベースの音が重なっている感じ。

ぜひ音源でチェックしていただきたく。

06.メタボリズム

曲中の「食~べた~い、痩~せ~た~いけど~」のフレーズがずしーん。

ゆったりした展開から、「食~べた~い、痩~せ~た~いけど~」のフレーズの後に一気に加速する間奏。
ああ、痩せたいのに食べちゃったのかな、という想像も。。笑

そしてふたたびゆったりした日常、というか食べちゃった後の現実に戻される感じがあります。

夢と現実、ドリームとリアルです。ええ。

日常にあるドラマ、好きです。
壮大なことを歌っていて全くピンと来ない曲より、日常過ぎて突き刺さる曲、あるよね。

生活感あるよね、クライム。

07.タッチ

こちらは“デスマッチ”に収録された幻の1曲。

「オムライス、タコス、ショートケエキ!」

のフレーズが強烈です笑

“デスマッチ”の収録曲も、“タッチ”“スコッチ”“デスマッチ”の3曲だったので、このフレーズがそのへんとも連動しているのかなとか余計なことを勘ぐってしまったり。

今さらの確認ですがタッチ、スコッチ、デスマッチの語源はエッチ、スケッチ、ワンタッチでいいんですよね?笑

08.ピンクの電話

ついにクライムのライブでコールアンドレスポンスが起こる!?

それはこの曲によって実現されるかもしれませんw
ラストのところ、みんなで合唱してライブ終了、とかだったらとてもいいなあ。

歌詞では、曲前半の「今では」の重み。
これに尽きます笑

ほんと笑える。

正論を低いテンションでぼそっと言われる時が一番刺さる、あの感じ。
音の高低差も相まって、かなりキますね。。

やっぱりこの伏線回収力、すごい。

じっくり積み上げて、作り上げて、コロッと倒す感じ。
ドヤー!と言いたいところなはずなのに、優しく、誰もびっくりさせないように気配りをしているかのような。

このへんにも悟ってる感出てます笑

楽器では、シンプルで苦しそうなギターの音がクライムらしさ。
後半は初期を連想させる歪んだギター音も炸裂します。

09.あしべ

軽快なイントロから入ってくる曲なんですが、

「人体模型のおばけが暗室でテニス始めた」

!?

って。曲に一気に事件性が出てきて笑

ラストはシャウトとノイズ混じりのギターが最高。
この曲はライブで聞きたい。

10.デスマッチ

以前にアナログのみに、「タッチ」「スコッチ」とともに収録された「デスマッチ」。

その当時、このPVには衝撃を受けましたね笑

5分過ぎのおじいちゃんの笑顔にすべてが詰まってますよ。

こんな笑顔のおじいちゃんになりたい。
こんな曲を聞きながら。

「かくいう私は〆鯖でした」

から入って、

「味噌煮にあこがれて」

なんて笑

あんたに書けるかい、この詩が。いや書けない。(反語)

ということで、Climb The Mind「チャンネル3」全曲レビューでした。

聞いていると、

「この歌詞が文字で並んでいるのを見たい」という、そんな気持ちになるんですよね。

なんか文字列で見てもほっこりするような、そういう歌詞な気がするんですよね。

どんな風に文字列が並んでいるのか、レイアウトすら気になってきます笑

そんな謎な気持ちになるバンドってないよなあと。

これを思うと、やっぱり日本に生まれてよかったなあとしみじみ思ったり。

やっぱり他の国に生まれていたら、このシュールで絶妙な感覚を受け取るのは難しいし、
そもそも知識の土台や、文化、歴史、簡単に言うなら空気感のようなものが共有し切れないと思ったりするんですよね。

何ならおそらく世代もメンバーのみなさんと近いのですごくありがたい。

こういう文脈を理解した上で楽しむもの、となると、もはやアートだよなとか。

音楽って芸術なんだし、そりゃもとからアートだよなとか。

そのことに改めて気づけた1枚でした。

Climb The Mind「チャンネル3」、ぜひあなたのおうちにも1枚いかがでしょうか。

ド迫力の金魚ジャケ、必ずあなたのお家でも輝くことでしょう。

Stiff SlackならTシャツ付きのセットもありますぞ。(私は注文済み)

あなたも、ド迫力の金魚ジャケを胸に抱いて街を闊歩しよう!

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