The Cinematic Orchestraのコンピ盤「Late Night Tales」は一生モノ

The Cinematic Orchestra Late Night Tales

2019年の4月にThe Cinematic Orchestraの来日公演が東京でありまして、ライブに行ったんですよ。

ライブはこんな感じで文句なしに最高だったんですが、それ以外にもよかった点がありまして。

それは開演前のBGM。

会場はホールだったんですがBjorkの「Joga」や、いかにもシネマティック・オーケストラらしい美しく、乗れる音楽が壮大な音で流れていたんですよ。

物販などを見終わって開演を待ちながら

「開演前からこりゃ最高だなシネマティック・オーケストラ」

と思っていて、終演後にも当然興奮しながらTwitterでみなさまの感想をいろいろと見ていたところ、こちらのTweetを発見しまして。

Shazamしてたこの人、自分かもしれない。

と思いつつも、あれはシネマティック・オーケストラ関連の音源だったのか~ということに気づくことができました。(ありがとうございます、なんとこの方フォロワーさんでした。音楽好きはどこかで繋がっているものですね。)

※ちなみにこのときShazamを試したのですが、うまく認識してもらえず、曲はわからないままだったのでこの情報はとてもありがたかったんですよね。。このとき以外にもライブ後のTwitterで見た感想で勉強になったことは多々あるのでTwitterは最高。

その情報をもとに、無事シネマティック・オーケストラ関連のアナログ一式を購入しまして。
その中に当然「Late Night Tales」も入れたわけです。

音源としてなんとなく想像がつくものは後にして、一番イメージがわかなかった「Late Night Tales」を先に聞いてみたわけです。(実は一番期待していたかもしれない)

これがドあたりでして。

この記事ではこの音源のよさの3%、いや、もっと少ない程度しか伝えることができないのですが、どれほどよろしい音源なのかを伝えることを試みてみようと思います。

まず「Late Night Tales」はコンピレーションアルバム

音源の紹介に入る前にまずは「Late Night Tales」というコンピレーション盤の説明しましょう。

「Late Night Tales」はシネマティック・オーケストラのオリジナルアルバムではなく、アーティストがピックアップした曲のリミックスを一枚のアルバムにしたもので、音源選定のコンセプトは「夜に聞きたい音楽」。それがシリーズ化されて、いろいろなアーティストで作られ続けています。

これまでにメジャーどころだとTommy Guerrero、Jamiroquai、The Flaming Lips、Belle & Sebastian、Fatboy Slim、MGMT、Franz Ferdinandなどが選曲者として携わっており、個人的に好きなところで、かつこの企画に合っていると思うところだとFour Tet、Bonobo、Jon Hopkins、Nils Frahm、Floating Pointsなども参加しています。

そんな中にこのシネマティック・オーケストラの一枚も存在しているのです。

The Cinematic Orchestra「Late Night Tales」から最高な曲を一部ご紹介

アーティストが選ぶ他のアーティストの音源、というだけで興味深く、信頼に値するものなのですが、当然聞いても最高ということで、曲を並べて聞いてみるだけでもその価値が伝わるかもしれないのでここからご紹介してまいります。

※「Late Night Tales」のアルバムジャケットが動画に出ているものは音源そのままのものです、その他はリミックスされる前の原曲を掲載

Flying Lotus – Auntie’s Harp

一曲目はFlying LotusのRemixから。実際の収録曲は「Auntie’s Harp (Rebekah Raff Remix)」というもので、こちらの曲とは結構違いますが、ハープを使った曲からの入りで、物語が始まりますよ感がとてもいいんです。

Terry Callier – You’re Goin’ Miss Your Candyman

フライング・ロータスの入りからクリーンな感じでNick Drakeなど数曲が繋がれるんですが、この曲で一気に黒っぽさとグルーヴが増してくる感じが素晴らしいです。夜に聞いたら眠れなくなりそうなんですけどね笑

The Freedom Sounds Featuring Wayne Henderson – Behold The Day

ここからこういう踊れるノリで来るんです。
イメージ的にこういう音楽ってシネマティック・オーケストラとあんまり繋がらないんですが、こういう音も入れてるからこそのグルーヴだよなあと思ったり。(ジャイルス・ピーターソンっぽいバランスというか)

Thom Yorke – Black Swan

そこから一気にトム・ヨークに。この記事上では明らかに不自然な大きな展開に聞こえると思うのですが、音源では全く不自然でない繋ぎ方が素晴らしいというか。

こういうところでアーティスト(DJ)の実力が出るのか、と自分のような素人でも気づけました。

Steve Reich – Electric Counterpoint

そしてスティーヴ・ライヒ。この曲はもともと中毒性が強すぎる。
さらにこのアルバムに入ってしまったらもう抜け出せませんわ。

Bjork – Joga

ライヒの次はビョーク。
それぞれ素晴らしいのは理解しつつもここに共通性を見つけて繋げるあたりがさすがというか。

個人的にアルバム全体を通して聞いたことがある曲がちょこちょこと入ってくることでメリハリがありました。

Imogen Heap – Cumulus

ここからはもう怒涛の流れ。

自分の不勉強で、知らないアーティストも多いのですが、このあたりを繰り返し聞いています。

ビョークに続くのはImogen Heapというお方。
「Joga」の流れを受け継ぐために作られたかのような一曲。

こんな関係性、どこから引っ張ってくるんだよ。。耳が肥えすぎてる。(最高)

St Germain – Rose Rouge

そして中盤で重ためだったところから上げていく流れに入ってくるわけです。
このアップダウンの自由自在さは言いようがありません。もう乗っかるしかないわけで。

こうも簡単に踊らされるもんですかね、人の感情は。(最高)

The Songstress – See Line Woman

そしてこのアルバムの中で個人的に一番好きなこの曲へと流れ込んでいきます。

権利関係で日本だと再生ができないようなので原曲を。これがリミックスされてこれまた最高な仕上がりになっているのでぜひ音源で聞いていただきたい。(原曲も最高。この曲がなかったらこのアルバムに収録されることもなかったわけで)

Nina Simoneの「See-Line Woman」が元ネタ。

Nina Simone – See-Line Woman

ニーナ・シモンのハスキーボイスに加えて、フルートの音がたまりません。めちゃくちゃいいです。

Sébastien Tellier – La Ritournelle

(個人的に前曲のこのアルバムの頂点を)引き継ぐこの曲もまた美しくて。。

シネマティック・オーケストラの曲かな?と思ったほど。(このコンピに2曲シネマティック・オーケストラの曲が入っています)

こうして新しいアーティストの発見ができるのもコンピ盤のいいところですね。
好きなアーティストがアルバムに収録するほど好きなんだから悪い人なわけがないんですから。(単純)

Burial – Dog Shelter

そして続くはBurial。もうたまりません。

この揺れをこの後半で持ってこないでくれ笑、結構不安定になる。(褒め言葉)

The Cinematic Orchestra – Talking About Freedom

Burialの不安感のある曲から、しっかり自身の曲で落ち着かせておやすみの体制へ持っていってくれます笑
さすがでございます。

アルバムの収録曲を歯抜けでご紹介しましたが、これらをノンストップで聞いたらよりリアルにこの上げ下げを感じられて最高なわけです。

ぜひこの一枚をあなたの手に。
個人的にこのアルバムは一生聞けそうな気がしましたのでご紹介しました!

CDでも最高ですがアナログレコードだとさらにいい体験ができるかも

このシネマティック・オーケストラの「Late Night Tales」ですが、アナログ盤は180gの重量盤。

さらにハーフスピードでのカッティングをしており、音質もかなりいいものになっているはずです。(わたくしの再生環境は全く強くはないのですが、その良さが感じられるほどいいです。)

アナログアナログとうるさいのもどうかと思いますが、この一枚はアナログで買う意味がある一枚のように感じます。よろしければ。

そして最後に、この音源とは特に関係ないのですが、ライブ後に読んだシネマティック・オーケストラのこのインタビューの内容もとてもよかったのでぜひ!

現代の日本に染まってきている自分が大事にしたい感覚な気がしました。
シネマティック・オーケストラの音源でも聞きながらゆったりしつつぜひ。

それではみなさま、よき夜を。ごきげんよう。